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案内メール・メルマガの配信前チェックをAIで行う:特定電子メール法の表示事項と配信先の根拠を点検する手順

セミナー案内や新商品のお知らせなど、広告・宣伝のメールには特定電子メール法の表示義務と送信先の制限があります。生成AIで配信前の原稿から送信者名・配信停止の連絡先・住所・問合せ先の表示漏れを点検する手順と、配信リストの「送ってよい根拠」を区分ごとに整理する方法、人が確かめるポイントを解説します。

対象読者
セミナー案内やメルマガの配信を任されているが、法律上の表示や配信先の同意の確認に自信がない、中小企業の総務・営業事務担当者
難易度
実務
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • AIには、メール原稿とフッターを貼り付けて、特定電子メール法の表示事項(送信者の氏名・名称、配信停止の連絡先とその旨、住所、苦情・問合せ先)が揃っているかを表で点検させる
  • 配信リストは、メールアドレスそのものではなく「入手経路」の一覧をAIに渡し、同意・名刺交換・取引関係・公表アドレスのどれに当たるかの案を出させる。当てはめと配信の可否は人が判断する
  • 配信リストのメールアドレスや氏名はAIに入力しない。配信停止の反映と同意の記録の保存は、配信サービス側の設定で確認する

展示会のお礼メール、セミナーの案内、新サービスのお知らせ。総務や営業事務が配信を担当するメールのうち、広告・宣伝を目的とするものは特定電子メール法の対象です。原稿の内容に気を取られて、配信停止の案内や会社の住所が抜けていた、という失敗は珍しくありません。

この記事では、配信前の原稿と配信リストの入手経路を生成AIで点検する手順を解説します。総務省の「迷惑メール対策」も参考になります。法律のルールそのものはメルマガ・案内メールの配信ルールで詳しく扱っています。

AIに任せること・任せないこと

区分 内容
AIに任せる 原稿・フッターの表示事項の点検、表現のあいまいな箇所の指摘、入手経路の一覧の整理と区分の案、社内チェックリストの下書き
人が確認する 広告・宣伝メールに当たるか、配信先ごとの送ってよい根拠、配信停止の反映、同意の記録の保存
AIに入力しない 配信リストのメールアドレス・氏名・会社名、名刺の画像、配信停止を申し出た人の情報

AIに渡すのは、原稿の本文とフッター、配信リストの「入手経路」の説明だけです。個人情報保護委員会も、生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内か十分に確認するよう注意を呼びかけています。

前提:表示事項と送ってよい相手

特定電子メール法は、営利を目的とする団体などが自己または他人の営業の広告・宣伝のために送るメールを「特定電子メール」とし(第2条)、送ってよい相手を限っています(第3条第1項)。

送ってよい相手 例
あらかじめ送信に同意した人など Webフォームで配信に同意した人
書面でメールアドレスを通知した人 名刺交換でアドレスを受け取った相手
取引関係にある人 現在取引のある顧客・取引先
アドレスをインターネットで公表している団体・営業を営む個人 Webサイトに問合せアドレスを載せている企業(広告メールお断りの表示がある場合を除く)

配信停止を求められたら、上の例外に当たる相手にも以後は送れません(第3条第3項)。

メールには、次の事項を表示します(第4条、施行規則)。

  • 送信者(または送信に責任を持つ者)の氏名・名称
  • 配信停止の通知を受けるためのメールアドレスまたはURLと、配信停止ができる旨
  • 送信者の住所
  • 苦情・問合せを受け付ける電話番号、メールアドレスまたはURL

手順1:原稿とフッターの表示事項を点検する

配信予定の原稿を、フッターまで含めて貼り付けます。

次の案内メールの原稿について、特定電子メール法の表示事項が揃っているかを点検してください。
表の列:表示事項/原稿での記載箇所(引用)/判定(あり・なし・不十分)/不十分な理由
表示事項:送信者の氏名・名称/配信停止の連絡先(メールアドレスまたはURL)/配信停止ができる旨(連絡先の直前または直後)/送信者の住所/苦情・問合せの受付先
・原稿に書かれていないことは補わず「なし」と判定してください
(ここに原稿を貼り付け)

住所と問合せ先は、メールの外(Webサイトなど)に表示し、その場所を示すリンクをメール内に置く方法も施行規則で認められています。AIが「なし」と判定しても、リンク先に表示している場合は、人がリンク先を開いて確かめます。

手順2:原稿の表現を点検する

表示事項以外にも、次のような点をAIに確認させます。

次の原稿について、受信者が誤解しそうな表現を挙げてください。
・送信者が誰か分かりにくい箇所
・配信停止の方法が分かりにくい箇所
・件名と本文の内容がずれている箇所
・「今だけ」「必ず」など、根拠のない断定や過度な表現
(ここに原稿を貼り付け)

価格や効果の表示は、特定電子メール法とは別に、景品表示法などの観点からも確認が必要です。気になる表現は、広告の担当部署や専門家と確認します。

手順3:配信リストの入手経路を整理する

配信リストそのものはAIに渡さず、リストがどこから来たかの説明を一覧にさせます。

次の説明から、メール配信リストの入手経路の一覧表を作ってください。
列:No./入手経路/件数の目安/入手時に配信への同意を取ったか/特定電子メール法第3条第1項の区分の案(同意・書面による通知・取引関係・公表アドレス・判断できない)/確認が必要な点
・説明に書かれていないことは推測せず「不明」としてください
入手経路の説明:
・自社サイトのメルマガ登録フォーム(同意チェックあり)
・展示会で交換した名刺
・セミナー申込フォーム(メルマガ登録の案内なし)
・過去に取引があったが、3年以上取引のない顧客
(実際の経路に書き換えてください)

「判断できない」「不明」になった経路は、配信対象から外すか、同意を取り直すかを人が決めます。たとえば、取引関係が終わって長く経つ相手は、取引関係にある人として扱えるかを慎重に考えます。

手順4:配信サービスの設定を人が確かめる

最後に、AIでは確かめられない点を配信サービスの画面で確認します。

確認すること 内容
配信停止の反映 配信停止の申出をした人が、今回の配信対象から外れているか。電話やメールで受けた申出も反映しているか
同意の記録 同意を得た日時・方法、同意を得たときのフォームの文言を保存しているか
送信者情報 送信元のアドレス・名称が自社の正しいものか
テスト配信 フッターが正しく表示されるか、配信停止のリンクが機能するか

同意の記録の保存期間などはメルマガ・案内メールの配信ルールで確認できます。名刺から得たアドレスの扱いは名刺管理と顧客情報の取扱いも参照してください。

手順5:社内の配信前チェックリストにする

毎回AIに同じ依頼をするより、点検項目を社内のチェックリストにしておくと、担当者が変わっても続けられます。チェックリストの下書きもAIに作らせ、人が自社の運用に合わせて直します。

これまでの点検内容をもとに、広告・宣伝メールの配信前チェックリストを作ってください。
・「原稿」「配信先」「配信サービスの設定」「配信後」の4区分に分ける
・各項目は「はい・いいえ」で答えられる文にする
・項目は全部で15個以内にする
区分 チェック項目の例
原稿 送信者名、配信停止の連絡先とその旨、住所、問合せ先が表示されているか
配信先 今回の配信先は、すべて送ってよい根拠のある入手経路から来ているか
配信サービスの設定 配信停止の申出をした人が除外されているか。テスト配信でリンクが機能したか
配信後 配信停止の申出を受けたら、いつまでにリストから外すか決まっているか

営業担当者が個別に送る案内メールも、広告・宣伝を目的とするなら対象です。チェックリストは営業部門にも共有し、配信停止の申出を総務に集める流れを決めておきます。

まとめ

  • AIには、原稿とフッターを貼り付けて特定電子メール法の表示事項の漏れを点検させる
  • 配信リストはアドレスではなく入手経路の一覧をAIに渡し、送ってよい根拠の区分案を出させる。判断は人が行う
  • 配信停止の反映、同意の記録、テスト配信は、配信サービスの画面で人が確かめる

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この記事で使えるテンプレート

DOCX 総務 個人情報取扱規程(マイナンバー取扱いを含む) 個人情報保護委員会のガイドラインに沿って、利用目的の特定、取得・利用・保管・提供・廃棄の各段階のルール、安全管理措置、委託先の監督、漏えい等の報告、開示等の請求への対応を定め、マイナンバー(特定個人情報)の利用範囲、事務取扱担当者、取扱区域、本人確認、廃棄の章を加えた個人情報取扱規程のひな形です。

この記事に出てくる用語

特定電子メール法
広告・宣伝のためのメール(特定電子メール)の送信ルールを定めた法律です。原則として、あらかじめ受信に同意した人にしか送れません(オプトイン方式)。

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出典・参考資料

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