源泉所得税をe-Taxで納付する方法|徴収高計算書の送信とダイレクト納付・ネットバンキングの使い分け
毎月10日の源泉所得税の納付は、e-Taxで所得税徴収高計算書を送れば、ダイレクト納付やインターネットバンキングで窓口に行かずに済ませられます。事前の準備、納付方法ごとの違い、税額0円の月の扱い、領収証書が出ないことへの備えを国税庁の案内で整理します。
- 対象読者
- 毎月の源泉所得税を紙の納付書で銀行窓口から納めており、キャッシュレス納付に切り替えたい従業員30〜300名の企業の経理・労務担当者
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この記事のポイント
- 源泉所得税をキャッシュレスで納めるには、先にe-Taxで所得税徴収高計算書のデータを送信する。徴収高計算書と納付情報登録依頼の送信だけなら電子証明書は不要
- ダイレクト納付は事前に税務署へ届出が必要(書面で1か月程度)。手数料は不要で、即時または指定した日に会社名義の口座から引き落とされる。インターネットバンキング納付はペイジー対応の金融機関で使える
- 税額が0円の月も0円の徴収高計算書の提出が必要。キャッシュレス納付では領収証書が発行されないため、e-Taxの完了通知を保存して記録を残す
給与から天引きした源泉所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。紙の納付書に手書きして銀行の窓口に並ぶ作業が毎月続くと、それだけで半日つぶれることもあります。
国税庁は、e-Taxを使ったキャッシュレス納付を案内しています。この記事では、源泉所得税をe-Taxで納めるまでの準備と、納付方法の選び方を整理します。
納付期限の確認
国税庁のタックスアンサーNo.2505によると、源泉所得税は原則として給与などを支払った月の翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けている場合は、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納めます(詳しくは源泉所得税の納期の特例)。期限が土日祝日にあたるときは、休日明けの日が期限です。
なお、同じページでは令和9年分以後は所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税をあわせて源泉徴収するとされています。給与ソフトの税額表の更新とあわせて確認しておきましょう。
キャッシュレス納付の前提は「徴収高計算書の送信」
国税庁の源泉所得税の納税手続のページでは、源泉所得税をキャッシュレスで納めるには、事前にe-Taxで徴収高計算書データを作成・送信する必要があるとされています。紙の納付書(所得税徴収高計算書)の代わりに、同じ内容をデータで送るイメージです。
| 準備 | 内容 |
|---|---|
| e-Taxの利用開始手続 | e-Taxの開始(変更等)届出書を作成・提出する |
| 電子証明書 | 徴収高計算書と納付情報登録依頼の送信だけなら不要(国税庁) |
| 納税用確認番号の登録 | ダイレクト納付を使うまでに登録が必須。メールアドレスの登録も推奨 |
| 練習 | e-Taxのキャッシュレス納付体験コーナーで、計算書の作成から納付まで実際の送信をせずに試せる |
納付する税額がない月も、税額0円の所得税徴収高計算書の提出が必要です(国税庁)。0円の計算書の控えには収受日付印が押されないため、提出日を自社で記録しておきます。
納付方法ごとの違い
源泉所得税で使えるキャッシュレス納付の主な方法を、国税庁の案内から比べます。
| 方法 | 事前準備 | 手数料 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| ダイレクト納付 | 税務署への届出(書面で利用開始まで1か月程度) | 不要 | 毎月決まった口座から納めたい会社 |
| インターネットバンキング等 | ペイジー対応の金融機関で法人ネットバンキングを契約 | 国への手数料は不要(金融機関の利用料は別) | すでに法人ネットバンキングで支払いをしている会社 |
| クレジットカード | 不要(e-Taxから手続) | 決済手数料がかかる | 一時的に使う場合 |
ダイレクト納付
国税庁の案内によると、ダイレクト納付はe-Taxで申告等をした後、納税者自身の名義の預貯金口座から、即時または指定した日に引き落として納める方法です。法人は、利用する日のおおむね1か月前までに「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を所轄の税務署に書面で出します。登録が終わると、e-Taxのメッセージボックスに完了の通知が届きます。
手数料はかかりません。農業協同組合・漁業協同組合と一部のインターネット専業銀行は利用できないため、利用可能金融機関一覧で口座の銀行を確認します。
インターネットバンキング等
インターネットバンキング等からの納付は、徴収高計算書を送信した後に表示される納付情報を使い、ペイジーに対応したネットバンキングやATMから納める方法です。国への手数料は不要ですが、金融機関の利用料がかかる場合があります。
クレジットカード
クレジットカード納付は、1回の手続で1,000万円未満などの上限があり、納付額に応じた決済手数料がかかります。源泉所得税(納付書が届いていない場合)は、国税クレジットカードお支払サイトからではなくe-Taxから手続します。
コンビニ納付(QRコード・バーコード)は、源泉所得税では税務署から告知を受けた分に限られます(国税庁)。
切り替えの進め方と社内ルール
- e-Taxの利用開始手続をし、納税用確認番号を登録する
- ダイレクト納付を使うなら、届出書を税務署に出す(切り替えたい月の1か月以上前)
- 給与ソフトが徴収高計算書のデータ作成やe-Tax送信に対応しているかを確認する
- 送信する人、口座からの引落しを承認する人を分け、手順書にする
- 最初の数か月は、送信内容と給与台帳の源泉税額の合計を照合する
キャッシュレス納付では領収証書が発行されません(国税庁)。e-Taxの受信通知や納付完了の通知を保存し、どの月の分をいつ納めたかを一覧で残しておくと、税務調査や監査のときに説明しやすくなります。領収証書が必要な場合は、金融機関の窓口で納めます。
ダイレクト納付で引落しができなかったときは、メッセージボックスにエラーの通知が届きます。期限日の前日までに口座残高を確認する手順も入れておきましょう。
つまずきやすい点
- 口座の名義:ダイレクト納付で使えるのは納税者自身の名義の口座だけです(国税庁)。代表者個人の口座や関連会社の口座は使えません
- 納期限の混雑:国税庁は、令和8年7月10日(源泉所得税の納期限)のダイレクト納付について、利用が多いため引落しや結果の通知に通常より時間がかかる見込みだと案内していました(国税庁)。期限当日ではなく、数日前に手続を済ませる運用にします
- 納期の特例との組み合わせ:特例を受けている会社は、毎月用ではなく納期特例用の徴収高計算書を使います。年2回しか使わない手順なので、手順書に画面の流れを残しておきます
- 0円の月:賞与がなく給与も非課税の範囲だけの月など、税額0円でも計算書を出します。出し忘れると、納付漏れと区別しにくくなります
まとめ
- 源泉所得税のキャッシュレス納付は、e-Taxで徴収高計算書を送ることから始まる。この送信だけなら電子証明書は不要
- ダイレクト納付は届出から利用開始まで時間がかかる。インターネットバンキング等はペイジー対応の口座で使える
- 税額0円の月も計算書を出す。領収証書が出ないため、完了通知を保存して記録を残す
毎月の源泉税額の計算方法は毎月の源泉所得税の計算方法で解説しています。
この記事に出てくる用語
- 源泉徴収
- 給与や報酬などを支払う人が、支払の際に所得税を差し引いて国に納める仕組みです。差し引いた税額は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。