健康保険の扶養に入れる手続き|被扶養者(異動)届の期限・添付書類と国民年金第3号の届出
従業員の家族を健康保険の扶養に入れるときは、事実発生から5日以内に「健康保険 被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。配偶者の場合は国民年金第3号被保険者関係届を兼ねる様式です。続柄・収入の確認書類、添付を省略できる場合、別居・60日以上さかのぼる場合の追加書類、扶養から外すときの手続きを整理します。
- 対象読者
- 協会けんぽに加入する従業員30〜300名の企業で社会保険の届出を担当する人
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了8分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 協会けんぽの被保険者が家族を扶養に入れるときは、従業員が事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を事実発生から5日以内に日本年金機構へ提出する
- 添付書類は続柄確認と収入要件確認の2種類が全員に必要。ただし双方のマイナンバーを記載し事業主が続柄を確認した旨を書けば続柄書類を省略でき、税法上の扶養親族であれば事業主の証明で収入書類を省略できる
- 20歳以上60歳未満の配偶者は原則として国民年金第3号被保険者になり、届書は第3号の届出を兼ねる。扶養から外れたら「その都度」削除の届出が必要
「結婚したので妻を扶養に入れたい」「子どもが生まれた」「親の収入が減ったので扶養にしたい」。従業員からの扶養の相談は、入社時だけでなく1年を通じて発生します。手続きの期限は短く、添付書類の不備による返戻も多い届出です。
この記事では、協会けんぽに加入する会社を前提に、被扶養者(異動)届の出し方と添付書類を整理します。扶養に入れるかどうかの判断基準(年収130万円未満など)は社会保険の扶養と税の扶養の違いで詳しく説明しています。
手続きの全体像
| いつ | 誰が | どこに | 何を | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| 家族を扶養に入れるとき(入社・結婚・出生・収入減少など) | 従業員が事業主を経由して | 事務センターまたは管轄の年金事務所 | 健康保険 被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届 | 事実発生から5日以内 |
| 家族が扶養から外れるとき | 同上 | 同上 | 同じ様式で「非該当」として届出 | その都度 |
提出方法は電子申請・郵送・窓口持参のいずれかです。電子申請なら、収入確認の書類などを画像ファイル(PDF・JPEG)で添付できます。電子申請の始め方は社会保険・労働保険の電子申請を始める手順を参照してください。
健康保険組合に加入している会社は、健康保険の扶養の届出先・様式が組合ごとに異なります。協会けんぽ以外の健康保険の被保険者の配偶者を扶養に入れる場合、日本年金機構には「国民年金第3号関係者届」のみを提出し、健康保険は組合の手続きに従います。
扶養に入れる家族の範囲(確認のポイント)
日本年金機構は、被扶養者の条件を、日本国内に住所(住民票)があり、被保険者により主として生計を維持されていることと、次の要件を満たすこととしています。
| 区分 | 同居の要否 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 同居していなくてもよい人 | 不要 | 配偶者(事実婚を含む)、子・孫・兄弟姉妹、父母・祖父母などの直系尊属 |
| 同居が必要な人 | 必要 | 上記以外の3親等内の親族(おじ・おば、甥・姪など)、内縁の配偶者の父母・子 |
収入の目安は、今後1年間の見込み収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満)で、同居なら被保険者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満です。給与収入のみの人は、2026年4月以降の認定から労働契約の内容で年間収入を判定できるようになりました。
夫婦ともに収入がある場合、子は年間収入の多い方の被扶養者になります。共働きの従業員から子の扶養の届出があったら、配偶者の年収見込みを届書に記入してもらいます。
添付書類
日本年金機構は、(1)続柄確認と(2)収入要件確認の書類は全員に必要、(3)以降は該当する場合のみ必要としています。
(1)続柄確認の書類
- 被扶養者の戸籍謄本(抄本)、または住民票の写し(被保険者が世帯主で同一世帯の場合。マイナンバーの記載がないもの・コピー不可)
- いずれも提出日からさかのぼって90日以内に発行されたもの
省略できる場合:被保険者と扶養に入れる人の双方のマイナンバーが届書に記載され、事業主が上記の書類で続柄を確認した旨を届書に記載したとき。また、配偶者や20歳以下の子との関係で双方に日本の戸籍がある場合なども、事業主の確認の記載がなくても省略できる場合があります(子の出生を契機とする届出を除く)。
(2)収入要件確認の書類
| 扶養に入れる人の状況 | 書類 |
|---|---|
| 所得税法上の控除対象配偶者・扶養親族になっている | 事業主の証明があれば不要(被保険者の合計所得金額が1,000万円超の場合を除く) |
| 退職して収入要件を満たす | 退職証明書または離職票の写し |
| 失業給付を受給中・受給終了 | 雇用保険受給資格者証などの写し |
| 年金を受給中 | 年金額の改定通知書などの写し |
| 自営業・不動産収入がある | 直近の確定申告書の写し |
| 上記以外 | 課税(非課税)証明書 |
| 給与収入のみで労働契約の内容で認定する | 労働条件通知書・雇用契約書など+「給与収入のみである」旨の申立て |
障害年金・遺族年金・傷病手当金・出産手当金・失業給付など非課税の収入がある場合は、受取額のわかる通知書等のコピーも必要です。
(3)〜(5)該当する場合だけ必要な書類
- 別居している場合:仕送りの事実と金額がわかる書類(通帳の写し、振込明細書、現金書留の控えなど)。16歳未満または16歳以上の学生は不要
- 内縁関係の場合:内縁関係を確認できる書類
- 海外に住む家族の場合:海外特例要件に該当することを確認する書類(日本年金機構の案内を確認)
国民年金第3号被保険者の届出
この届書は、健康保険の被扶養者(異動)届と、配偶者の国民年金第3号被保険者関係届が一体になった様式です。
- 従業員の配偶者が20歳以上60歳未満で、厚生年金保険などの被保険者でない場合は、原則として第3号被保険者になる
- 協会けんぽの被扶養配偶者が第3号に該当しない場合(60歳以上など)は、備考欄に「扶養届のみ」「3号届なし」などと書けば健康保険の届出だけにできる
- 外国籍の配偶者を第3号にする場合は「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」も一緒に出す
配偶者が扶養から外れて厚生年金に加入しない場合は、本人が市区町村で国民年金第1号被保険者の手続きをする必要があります。従業員に伝えておきましょう。
返戻を防ぐチェックポイント
| よくある不備 | 対策 |
|---|---|
| 住民票・戸籍が90日を過ぎている | 発行日を確認してから提出 |
| 被扶養者になった日が受付日より60日以上前 | 扶養の事実を確認できる書類が必要。届出は5日以内を徹底する |
| 収入書類に源泉徴収票を添付 | 状況に応じた書類(課税証明書など)を添付する |
| 配偶者の年収欄が空欄(子の届出) | 夫婦の収入比較に使うため必ず記入 |
| マイナンバーの記載漏れ | 続柄書類の省略ができず、マイナ保険証の利用開始も遅れやすい |
被扶養者になった日が受付日より60日以上さかのぼる場合でも、出生・婚姻・養子縁組(子が20歳以下)を契機とする届出で、双方に日本の戸籍があり双方のマイナンバーを記載している場合は、追加書類は不要です。
届出後と扶養から外すとき
届出が処理されると、協会けんぽから被扶養者の「資格情報のお知らせ」と、必要な人には資格確認書が交付されます。マイナ保険証や資格確認書の扱いはマイナ保険証・資格確認書と会社の手続きを参照してください。
扶養から外す(削除・非該当の)届出は「その都度」行います。家族が就職して健康保険に加入した、年収が要件を超える見込みになった、後期高齢者医療制度の被保険者になった、別居した(同居が要件の人)、離婚した、などが典型です。協会けんぽの被扶養者資格の再確認(2026年は提出期限12月11日)も、外れた人を見つけるきっかけになります(被扶養者資格の再確認)。
まとめ
- 扶養に入れるときは被扶養者(異動)届を事実発生から5日以内に提出する。従業員から事業主経由で出す届出
- 続柄確認と収入要件確認の書類は全員に必要。マイナンバーの記載と事業主の確認、税法上の扶養の証明で省略できる場合がある
- 別居なら仕送りの証明、60日以上さかのぼるなら扶養の事実の書類が追加で必要
- 20歳以上60歳未満の配偶者は第3号被保険者の届出を兼ねる。扶養から外すときもその都度届け出る
- 入社時の手続き全体は入社時の社会保険・雇用保険の加入手続きを参照する