令和8年版 労働経済白書が公表 テーマは「AI等技術革新が進む中での労働市場」
厚生労働省は2026年9月29日、「令和8年版 労働経済の分析(労働経済白書)」を公表しました。分析テーマはAI等の技術革新と労働市場。AI投資と人的資本投資の連携、職種で異なる雇用への影響、「メタスキル」の重要性など、主なポイントを整理します。
- 対象読者
- 人材育成やAI活用の方針づくりに関わる、従業員30〜300名の企業の人事担当者・経営者
- 難易度
- 基本
- 所要時間
- 読了4分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 2025年は就業者数・雇用者数が過去最高となり、現金給与総額は5年連続で増加。一方、実質賃金は4年連続で減少した
- AIの導入効果はAI関連の人的資本投資で高まるとして、経営戦略と人材戦略の連携が重要と指摘
- 論理的思考力やコミュニケーション能力など、特定の業務にとどまらない「メタスキル」の重要性が高まる可能性を示した
厚生労働省は2026年9月29日、閣議に報告した「令和8年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を公表しました。77回目となる今回の分析テーマは、**「AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題」**です。
白書の構成
| 部 | 内容 |
|---|---|
| 第Ⅰ部 | 2025年の一般経済、雇用情勢、労働時間・賃金などの動き |
| 第Ⅱ部 | AIの利用による経済成長や労働市場への影響、AI時代の人材育成の課題 |
第Ⅰ部:2025年の雇用と賃金
- 完全失業率や有効求人倍率はおおむね横ばいで推移した一方、就業者数や雇用者数は過去最高に達した
- 現金給与総額は、2年連続で5%台となった春季労使交渉の賃上げなどを背景に、5年連続で増加した
- 実質賃金は、物価が4年連続で3%以上の高い水準となったことなどから、4年連続で減少した
なお概要では、2026年に入ってからの実質賃金はプラスで推移していると注記されています。
第Ⅱ部:AIと労働市場
白書が示した主なポイントは次の3つです。
- AI投資と人的資本投資の連携:AIの導入効果は、AIに関する人への投資(研修など)によって高まる。経営戦略と人材戦略を連携させることが重要
- 職種によって異なる影響:AIが大きな雇用減少をもたらしている証拠は確認されていない。ただし「管理・専門職」「事務職」「現場職」など職種によって影響が異なる可能性があり、希望に応じた労働移動やリ・スキリング(学び直し)の支援が重要
- メタスキルの重要性:論理的思考力、批判的思考力、コミュニケーション能力など、特定の業務にとどまらない能力(メタスキル)の重要性が高まる可能性がある。メタスキルが高い人は賃金が高い傾向にあると分析
人事担当者にとっての読みどころ
白書は政府の分析であり、企業に新たな義務を課すものではありません。ただ、少人数の会社でも次のような場面で参考になります。
- 生成AIを導入するときに、ツールの導入とあわせて社内研修やルールづくりを計画する(→人事労務でのAI活用、社内AI利用ガイドラインの作り方)
- 事務職の業務の変化を見すえて、研修計画にコミュニケーションや問題解決などの汎用的な能力を組み込む(→研修計画の立て方)
出典・参考資料
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