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採用の「応募後の実務」をAIに任せる。フェアパスに聞く、中途採用チームの日程調整と連絡の減らし方

採用AIエージェントOS「フェアパス」を基盤に、応募後の連絡・日程調整・リマインド・評価回収を人とAIで支援する bgrass株式会社に、解決する課題、ATSや採用代行との違い、料金の考え方、合否判断と個人情報の扱いを聞きました。導入事例の数値の読み方と、検討時に確認したいポイントも編集部が整理します。

対象読者
中途採用の応募対応・日程調整に追われている企業の人事責任者、採用責任者、管理部門の意思決定者
難易度
実務
所要時間
読了10分
最終確認日
採用の「応募後の実務」をAIに任せる。フェアパスに聞く、中途採用チームの日程調整と連絡の減らし方

この記事のポイント

  • bgrassは、採用AIエージェントOS「フェアパス」を基盤に、AIと人の支援チームで採用を支える。採用アシスタントが担ってきた応募後の実務(候補者への連絡の下書き、日程調整、リマインド、ステータス更新、評価回収)をAIが進め、採用領域のAX(AIを前提にした業務の作り替え)や半内製化も支援する。送信は担当者が確認して行い、合否の判断はAIに任せない
  • 既存のATSや採用代行の契約を残したまま、日程調整だけ・1求人だけといった小さな範囲から始められる。料金はAIメンバー1人から月額5万円〜に、応募数などに応じた従量料金が加わる
  • 主な対象は月200名以上の応募がある中途採用チームで、月50応募未満では効果が出にくいと提供元自身が説明している。導入前に、自社の応募数、連携するATS、候補者の個人情報の扱いを確認したい

中途採用の応募が増えると、担当者の1日は「候補者への返信」「面接官との日程調整」「リマインド」「評価の催促」で埋まっていきます。採用管理システム(ATS)を入れても、情報を受け取った後に連絡し、調整し、催促するのは人のままです。

今回は、採用AIエージェントOS「フェアパス」を基盤に、この応募後の実務そのものを人とAIで担う支援を行う bgrass株式会社に、どんな課題をどう解決するのかを聞きました。後半では、導入を判断する立場の方に向けて、事例の数値の読み方と、検討時に確認したいポイントを編集部が整理しています。

項目 内容
サービス名 フェアパス(採用AIエージェントOS)
支援の形 フェアパスを基盤にした人+AIの採用支援(採用領域のAX支援、半内製化の支援)
提供会社 bgrass株式会社(2022年7月設立、東京都渋谷区)
主な対象 月200名以上の応募がある中途採用チーム
任せられる業務 候補者への連絡の下書き、日程調整、リマインド、選考ステータスの更新、見送り連絡、評価の回収、紹介会社へのレポート作成
料金 AIメンバー1人から月額5万円〜+利用量に応じた従量料金。1ヶ月の無料トライアルあり
導入期間 ヒアリングから本番運用まで約2週間が目安

※ 上の表はフェアパス公式サイトとbgrass株式会社の会社概要の記載(2026年11月1日時点)をもとに編集部が整理したものです。

回答者:bgrass株式会社【要確認:回答者の氏名・役職】

選考データに見えた「説明できない差」が出発点だった

―― フェアパスを作ったきっかけを教えてください。

当社は、女性IT人材の転職を支援する「WAKE Career」を運営しています。そこで企業の方から「女性の候補者が選考を通過しにくい」「内定を出しても承諾に至らない」という相談を受けるようになりました。

採用のデータを分析してみると、候補者の能力や意欲だけでは説明できない差が見えてきました。選考の進め方や評価の運用に原因がありそうなケースです。ところが企業の担当者は応募対応や日程調整に追われていて、分析や改善に時間を割けません。それなら実務をAIに任せ、空いた時間を採用の改善に使ってもらおう、と考えたのが始まりです。

応募が増えるほど、担当者は「判断」ではなく「作業」に追われる

―― 人事・採用の現場では、具体的にどんなことが起きていますか。

応募が多い中途採用のチームでは、求人媒体や人材紹介会社ごとに、候補者からの連絡が別々に届きます。どこに返信が来ているかを探すところから仕事が始まり、面接官の予定を確認して候補日を出し、返事がなければ催促し、選考が進めばステータスを更新し、面接後は評価を集めて回ります。

一つひとつは小さな作業ですが、積み重なると担当者の1日が埋まります。その結果、返信が遅れて候補者が辞退したり、対応が漏れたりします。本来やるべき採用要件の見直しや母集団づくりに、手が回らなくなります。

―― ATS(採用管理システム)や採用代行では解決しないのでしょうか。

ATSは情報を管理する道具なので、情報を受け取った後に連絡し、調整し、催促するのは人のままです。採用代行(RPO)に外注すると、人が作業する分だけ費用がかかり、応募が増えれば費用も増えます。

フェアパスは、ATSや外注の契約をやめていただく必要はありません。そのまま併用して、日程調整だけ、1つの求人だけ、という小さな範囲から始められます。

編集部注:ATSの選び方は「採用管理システム(ATS)の選び方」、採用代行の選び方は「採用代行(RPO)の選び方」で整理しています。フェアパスは、この2つの間を埋める位置づけのサービスといえます。

AIは「下書きまで」、送信と合否は人が決める

―― フェアパスを一言で説明すると何ですか。

採用AIエージェントOSです。採用アシスタントが担っていた応募後の実務を、AIが代わりに進めます。

ただ、単体のツールとして渡して終わり、という提供の仕方ではありません。フェアパスを基盤に、AIと当社の支援チームが一緒に採用の実務を担う「人+AI」の支援として提供しています。採用領域のAX(AIを前提に業務の進め方を作り替えること)の支援や、外注に頼っていた採用業務を少しずつ社内に戻す「半内製化」の支援、という言い方でお伝えすることも増えています。

―― 主な機能を教えてください。

中心になるのは次の3つです。

機能 AIがすること 人がすること
要対応リスト 返信待ち・判断待ち・リマインドの時期などを理由つきで示し、今対応すべき候補者だけを並べる 表示された候補者に対応する
日程調整 面接官全員のカレンダー(Google カレンダー/Outlook カレンダー)から空き枠を出し、案内文を下書きする。確定後はカレンダーに登録する 下書きを確認して送信する
採用改善AI 通過した人と見送った人の違いを求人ごとに分析する「採用モデル」と、紹介会社ごとの推薦精度レポートを作る 内容を確認し、採用要件や紹介会社への依頼に反映する
候補者全体の状況をAIアシスタントが整理し、返信あり・評価待ち・再連絡のタイミングなど対応が必要な候補者だけを人事担当者に示す流れの図
要対応リストの仕組み。AIが候補者全体の状況を整理し、対応が必要な候補者だけを理由つきで示す(画像提供:bgrass株式会社)

ほかに、選考ステータスの更新、一定期間返信がない候補者へのフォロー、見送り連絡の文面作成、職務経歴書の提出依頼と提出状況の管理も任せられます。

フェアパスAIが面接官の予定から差し込めそうな日程を見つけ、面接官への確認メッセージを下書きする画面
日程調整の画面例。空き枠がないときは、差し込めそうな予定を探して面接官への確認文を下書きする(画像提供:bgrass株式会社)

―― AIが勝手に候補者へ連絡してしまうことはありませんか。

ありません。AIが作るのは下書きまでで、送信は担当者が確認してから行う「確認して送信」が基本です。送信の作業そのものを当社のAIサポーターに任せることもできます。

書類や面接の評価、合否の判断もAIには任せず、企業の方に行っていただきます。AIは、求人の要件に合っている点と足りない点を整理して示すところまでです。

―― 他のサービスと比べて、いちばんの違いは何ですか。

各社の選考フローに合わせて作り込む点です。採用の業務に詳しい当社のエンジニア(FDE:顧客企業の現場に入って実装するエンジニア)が、選考フローやメールのテンプレートに合わせて設定します。社内の管理表への転記など、採用まわりの細かい作業も必要に応じて実装します。

AIで進められない例外が出たときは、人のAIサポーターが対応します。出力のチェックや候補者へのメールの代理送信もサポーターが行い、その費用は月額料金に含まれています。

AIが実務の実行とデータ分析を、人の支援チームが個社に合わせた設計・実装・改善を担い、企業の人事担当者は判断・指示・候補者との対話に集中する体制の図
AIと人の支援チームが実務を担い、企業の人事担当者は判断・指示・候補者との対話に集中する体制(画像提供:bgrass株式会社)
紹介会社ごとの推薦精度レポートの画面例。推薦数、書類通過率、段階ごとの歩留まりを他のエージェント平均と比べて示している
採用改善AIが作る「推薦精度レポート」の画面例(数値はサンプル)。紹介会社に実績データでフィードバックを返せる(画像提供:bgrass株式会社)

評価の「ばらつき」を見える化する

―― 「フェア」という名前には、どんな意味を込めていますか。

面接官によって評価の観点や細かさが違うと、同じ候補者でも結果が変わってしまいます。フェアパスでは評価の項目と形式をそろえ、採用の公平性を示すスコア、属性別の通過率、面接官ごとの評価の傾向を見える化する機能を標準で備えています。評価が人によってぶれたり、無意識のバイアスで本来採るべき人を逃したりすることを減らしたいと考えています。

編集部注:採用選考では、応募者の適性と能力に関係のない事柄で判断しないことが求められます(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。また、男女雇用機会均等法第5条は、募集・採用で性別にかかわりなく均等な機会を与えることを求めています。属性別の通過率を見える化する際、その属性の情報をどのように取得・管理するのかは、導入前に提供元へ確認しておきたい点です。【要確認:bgrass株式会社の回答】

導入事例:応募が3倍になっても、オペレーションは1日約20分

―― 導入した企業では、どんな変化がありましたか。

総合広告代理店の株式会社SPEED EFFECTでは、それまで採用をスプレッドシートで管理し、応募者の情報を手で入力していました。メールの確認、転記、書類の回収、日程調整、リマインドに毎日2〜2.5時間かかっていたそうです。

項目 導入前 導入後
採用オペレーションの時間 1日2〜2.5時間 1日約20分
中途採用の応募数 月50件 月150件
新卒採用の体制 専任の担当者が必要 専任の担当者なしで運用

決め手になったのは、情報を管理するだけでなく、面接官のカレンダーを確認して候補者に連絡するところまで進められることだったと聞いています。費用は、ツール代だけでなく、媒体費や外部に頼む費用、担当者の作業時間まで含めて比較されたそうです。

編集部注:数値はフェアパスの導入事例ページ(提供元が掲載)によるもので、導入前との比較です。事例ページには、①オペレーション時間には導入初期に bgrass が一部の作業を伴走支援した期間が含まれること、②応募数の増加は、空いた時間で担当者が母集団づくり(スカウト文面の見直しなど)に取り組んだ結果を含み、フェアパスの導入だけで増えたものではないこと、が明記されています。自社で効果を見積もるときは、この2点を差し引いて考えるのが妥当です。

料金と導入の流れ

―― 料金の考え方を教えてください。

AIメンバー1人から月額5万円〜で、ライセンスをまとめて購入していただく必要はありません。応募数などの利用量に応じた従量料金が加わるので、応募が多い月と少ない月で費用が変わります。AIサポーターの対応費用は月額料金に含まれています。最初の1ヶ月は無料でお試しいただけます。

公式サイトには、今の外注費と月の応募数を入れると概算の月額を試算できるシミュレーターを用意しています。

―― 導入はどのように進みますか。

  1. 現状のヒアリング(採用フロー・ツール・体制の棚卸し)
  2. 再設計のプランの提案(組織・費用・導入の形)
  3. エンジニアによる実装(ATSなどとの接続、評価の設計、各社に合わせた設定)
  4. 本番運用と改善

ヒアリングから本番運用まで、約2週間が目安です。企業の方には、選考フローの整理、候補者や紹介会社に送るメールのテンプレート、使っている求人媒体の情報、面接官のカレンダー連携をご用意いただきます。

―― どんな会社に向いていて、どんな会社には向きませんか。

月200名以上の応募がある中途採用のチームを主な対象にしています。月50応募未満の場合は、効果が出にくいことが多いです。また、スカウトの送信や求人媒体の運用といった母集団づくりそのものは提供範囲に含まれず、改善案の提案までになります。

候補者の個人情報をどう守るか

―― 候補者のデータはどのように扱っていますか。

候補者の情報は暗号化して管理し、AIの学習に無断で使うことはありません。権限や連携の範囲は、各社の要件に合わせて設計します。【要確認:第三者認証の有無、データの保管場所、委託先(AIモデルの提供元を含む)】

編集部注:企業が求職者の個人情報を集めて使えるのは、業務の目的に必要な範囲に限られます(職業安定法第5条の5)。また、候補者の情報を外部のサービスで扱わせる場合、会社は委託先を必要かつ適切に監督する義務を負います(個人情報保護法第25条)。生成AIのサービスに個人情報を入力するときの注意は、個人情報保護委員会の注意喚起も参考になります。

今後の展望

―― 今後、どのような展開を考えていますか。

実際の運用で集まったデータと利用企業の声をもとに、AIの判断の精度と、見える化の機能を高めていきます。評価のばらつきや無意識のバイアスで生まれる採用のロスを、選考の中で減らす仕組みを強くしていきたいと考えています。あわせて、フェアパスを基盤にした人+AIの支援として、採用領域のAXや半内製化の支援を広げていきます。

―― 最後に、JIROSOの読者へメッセージをお願いします。

【要確認:代表者ご本人の言葉でいただく】

編集部まとめ:導入を検討するときに確認したいこと

フェアパスは、ATSでも採用代行でもなく、単体のツールでもありません。採用AIエージェントOS「フェアパス」を基盤に、応募後の実務をAIと支援チームが進め、人事は判断と送信の確認に集中するという考え方の支援です。既存のATSや外注を残したまま一部から試せるため、乗り換えの負担が小さいのが特徴です。一方で、効果が出るかどうかは応募数に大きく左右されます。

検討するときは、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。

確認すること 見るポイント
応募数 直近半年の月平均の応募数。月50件未満なら、効果が出にくいと提供元も説明している
今の作業時間 日程調整・連絡・リマインド・評価回収に、担当者が1日何時間使っているか
費用の比較 ツール代だけでなく、採用代行の費用と担当者の人件費を含めて、シミュレーターと見比べる
連携 使っているATSやカレンダー、チャットツールと連携できるか。できない場合の運用
人が判断する範囲 送信・合否・例外対応を、社内の誰が行うか
個人情報 候補者データの保管場所、AIの学習への利用、委託先、退会時のデータ削除の方法
公平性 属性別の通過率を見るときに、どの情報をどう集めるか。公正な採用選考の考え方と合っているか

採用選考でAIを使うときの一般的な注意点は「採用選考にAIを使うときの注意点」、応募者への連絡文の型づくりは「求人応募者への連絡文をAIで定型化する」で詳しく解説しています。面接評価の項目をそろえるときは、テンプレート「面接評価シート」も使えます。

この記事は、提供元への取材と公開情報をもとに JIROSO 編集部が作成したものです。料金・機能は2026年11月1日時点の内容で、最新の情報はフェアパス公式サイトでご確認ください。JIROSO は特定のサービスの導入を推奨するものではありません。

この記事で使えるテンプレート

CSV 人事 面接評価シート 面接官ごとの評価を同じ基準でそろえるための面接評価シートです。評価項目・5段階評価・評価の根拠となった発言・総合判定を1行1候補者で記録でき、Excelで集計できます。 DOCX 人事 不採用通知 文例集(書類選考・面接後・内定辞退の連絡への返信・理由を聞かれたとき) 採用を見送る応募者への連絡文を、書類選考後・面接後・最終面接後・選考結果が遅れるとき・不採用の理由を尋ねられたとき・タレントプール登録の同意を求めるときの場面別にまとめた文例集です。応募書類の扱い(返却しない・廃棄する)の書き方と、送る前の確認項目も付けています。

この記事に出てくる用語

採用内定
会社が応募者に採用を約束することです。多くの場合、内定通知の時点で「始期付・解約権留保付の労働契約」が成立したと考えられます。

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