総務への問い合わせログを分類して改善につなげる:記録の項目、AIでの分類、月1回の振り返り
総務への問い合わせは、記録しないと「忙しい」という感覚しか残りません。問い合わせログの項目の決め方、AIで分類コードを付ける手順、件数の多い問い合わせを様式・手順・通知のどれで減らすかの判断、月1回の振り返りの進め方を紹介します。
- 対象読者
- 社内からの問い合わせをメール・チャット・口頭で受けている、従業員30〜300名の企業の一人総務・兼任人事
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了9分
- 最終確認日
この記事のポイント
- ログは「日付・経路・分類・要旨・対応時間・解決方法」の6項目に絞る。誰からの問い合わせかは原則として記録しない
- 要旨をAIに渡して分類コードを付けさせ、件数と対応時間はスプレッドシートで集計する
- 件数の多い問い合わせは、FAQだけでなく「様式・手順・通知のタイミング・システムの設定」のどれで減らせるかを考える
「備品はどこで頼めばいいですか」「会議室の予約の取り消し方は」「住所が変わったら何を出せばいいですか」。総務には、毎日のように同じ種類の問い合わせが届きます。一つひとつは短くても、積み重なると1日の中でまとまった時間になります。
記録をとらないと、「問い合わせが多くて忙しい」という感覚しか残りません。この記事では、問い合わせをログに残し、AIで分類し、件数の多いものから仕組みで減らす進め方を紹介します。よくある質問をFAQにまとめる方法は社内の人事・総務FAQをAIで作るで解説しているので、本記事ではログの取り方と、FAQ以外の改善策に重点を置きます。
なぜログをとるのか
| 目的 | ログで分かること |
|---|---|
| 負担を見える化する | 月に何件、何時間かかっているか |
| 改善の優先順位を決める | どの種類の問い合わせが多いか |
| 改善の効果を確かめる | 対策の前後で件数が減ったか |
| 引き継ぎに使う | 何を聞かれ、どう答えてきたか |
経営層に人員や予算を相談するときも、件数と時間の記録があると説明しやすくなります(→人事総務のAI導入効果の測り方)。
ステップ1:ログの項目を決める
項目を増やすと記録が続きません。最初は6項目に絞ります。
| 項目 | 記入例 | ポイント |
|---|---|---|
| 日付 | 2026-10-16 | |
| 経路 | チャット/メール/口頭/電話 | 選択式にする |
| 分類 | (後でAIが付ける) | 最初は空欄でよい |
| 要旨 | 会議室予約の取り消し方法 | 1行で。個人名は書かない |
| 対応時間 | 5分 | おおよそでよい |
| 解決方法 | 口頭で説明/マニュアルを案内/手続きを代行 | 選択式にする |
誰からの問い合わせかは、原則として記録しません。 改善のために必要なのは「何が聞かれたか」であり、「誰が聞いたか」ではありません。部署ごとの傾向を見たい場合も、「本社/事業所」程度の粗い区分にとどめます。
住所変更や扶養の相談のように、個人の事情に関わる問い合わせは、要旨を「住所変更の手続き方法」のように一般化して書きます。手続きそのものの記録は、別の書類で管理します。
ステップ2:記録の手間を減らす
一人総務では、記録の手間が最大の課題です。
| 方法 | 向いている場面 |
|---|---|
| フォームに「経路・要旨・時間・解決方法」だけ入れる | スマートフォンからもすぐ記録したい |
| チャットの問い合わせ専用チャンネルを作る | チャットでの問い合わせが多い |
| 1日の終わりにまとめて記録する | 口頭の問い合わせが多い |
| 最初の1か月だけ全件記録し、その後は件数のみ数える | 記録を続ける余裕がない |
問い合わせの窓口を1つにまとめると、記録もしやすくなります。社内ポータルに窓口を案内する方法は社内ポータル・社内wikiツールの選び方も参考にしてください。
ステップ3:AIで分類コードを付ける
1か月分のログがたまったら、「要旨」の列だけをAIに渡して分類を頼みます。
総務への社内問い合わせの要旨の一覧です。分類してください。
1. 8〜12個の分類を作り、分類名と短いコード(例:FAC-01)を付けてください
2. 各要旨に分類コードを付け、元の順番のまま一覧で返してください
3. 分類の定義を1行ずつ書いてください(次回以降の分類に使います)
(ここに要旨を1行1件で貼る)
分類の例は次のとおりです。
| コード | 分類 | 例 |
|---|---|---|
| FAC | 施設・会議室 | 会議室の予約、空調、鍵 |
| SUP | 備品・消耗品 | 名刺、文房具、PCの周辺機器 |
| IT | アカウント・機器 | パスワード、貸与PC、プリンター |
| PROC | 社内手続き | 住所変更、通勤経路、各種届出 |
| EXP | 経費・支払い | 立替精算、請求書の送り先 |
| RULE | 規程・ルール | 慶弔休暇、出張旅費 |
AIが作った分類と定義は、担当者が見直してから固定します。分類が毎月変わると、件数の比較ができなくなります。2か月目以降は、固定した分類の定義をAIに渡して、同じ分類で付けてもらいます。
件数と対応時間の合計は、分類コードを付けたログをスプレッドシートのピボットテーブルや関数で集計します(→スプレッドシート関数・GASをAIに書かせるコツ)。
ステップ4:改善策を選ぶ
件数と対応時間の多い分類から、改善策を考えます。FAQを作るだけでなく、問い合わせが生まれる原因を見ます。
| 原因 | 改善策 | 例 |
|---|---|---|
| 手順が分からない | 手順書・FAQを作る | 会議室予約の取り消し方 |
| 様式が分かりにくい | 様式を直す | 記入例を付ける、項目を減らす |
| 案内のタイミングが遅い | 通知の時期を早める | 年末年始の休業案内を1か月前に出す(→社内通知・お知らせ文をAIで作る) |
| システムの設定・権限 | 設定を見直す | 共有フォルダの権限、プリンターの初期設定 |
| 規程があいまい | 規程を明確にする | 慶弔休暇の対象範囲(→社内規程を改定するときの手順) |
| 担当者しかできない | 手続きを本人がオンラインでできるようにする | 住所変更をフォームで受け付ける |
「規程・ルール」の問い合わせが多い場合、規程の書き方そのものに原因があることがあります。回答を作る前に、規程の文言を見直す価値があります。
ステップ5:月1回の振り返り
月の初めに30分だけ時間をとり、前月のログを振り返ります。
| 見る数字 | 見方 |
|---|---|
| 総件数・総対応時間 | 前月・前年同月と比べる |
| 分類別の上位3つ | 新しく増えた分類がないか |
| 改善策をとった分類 | 件数が減ったか |
| 解決方法の内訳 | 「手続きを代行」が多いなら、本人ができる仕組みを検討 |
振り返りのメモは、AIに数字を渡して下書きさせることもできます。渡すのは分類別の件数と時間の集計だけにします。
AIに入力しないもの
| 入力しない | 理由 |
|---|---|
| 問い合わせた人の氏名・社員番号 | 個人データにあたる |
| 住所、家族構成、健康状態 | 個人の事情が含まれる |
| 問い合わせのメール・チャットの原文 | 署名や個人の事情が含まれることが多い |
| マイナンバー | 利用目的が法律で限られている |
AIに渡すのは、担当者が1行にまとめた「要旨」だけです。社内で利用を認めたAIサービスを使い、入力した内容の扱いを確認しておきます(→生成AIの社内利用ガイドライン)。
まとめ
- ログは日付・経路・分類・要旨・対応時間・解決方法の6項目に絞り、誰からかは記録しない
- 要旨だけをAIに渡して分類コードを付け、分類の定義を固定して毎月同じ基準で分ける
- 件数の多い分類は、FAQのほか、様式・通知の時期・システムの設定・規程の見直しで減らす
- 月1回、30分の振り返りで改善の効果を確かめる
問い合わせ対応の見える化や改善の進め方を相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。
出典・参考資料
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