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中小企業のBCP(事業継続計画)の初版をAIで下書きする:重要業務と目標復旧時間の洗い出し、経営資源の表、見直しの手順

BCP(事業継続計画)は、災害などで業務が止まったときに重要な業務を早く再開するための計画です。内閣府の事業継続ガイドラインの考え方に沿って、重要業務の洗い出し、目標復旧時間の案、経営資源とボトルネックの表を生成AIで下書きし、人が決めて検証する手順を整理します。AIに入れない情報と、初版を完成させるまでの進め方もまとめました。

対象読者
経営者から「BCPを作っておいて」と頼まれたが、何から書けばよいかわからない、従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務を決め、どれくらいの時間で復旧させるか(目標復旧時間)と、どの水準まで復旧させるか(目標復旧レベル)を定め、必要な経営資源とボトルネックを把握する流れを示している
  • AIに任せるのは、業務の洗い出しの叩き台、表の枠組み、想定シナリオの文章化、訓練の案。目標復旧時間などは「案」にとどまり、実現できるかを検証したうえで経営者が決める
  • 従業員の住所・連絡先・健康状態、取引先との契約の詳細、建物の警備情報などはAIに入力しない。完成した計画は年1回以上、訓練の結果をもとに見直す

「うちもBCPを作っておいたほうがいい」。経営者にそう言われても、一人で総務を担う担当者には、何から書けばよいのか見当がつかないことが多いでしょう。ひな形をそのまま埋めても、自社の業務に合わなければ、いざというときに使えません。

この記事では、内閣府の事業継続ガイドラインの考え方に沿って、BCPの初版を生成AIで下書きする手順を整理します。内閣府の「事業継続(知る・計画する)」にも関連資料があります。備蓄や安否確認など防災の基本は中小企業の防災・BCPで解説しています。

BCPで決めること

内閣府の事業継続ガイドラインは、BCPを作る流れとして、おおむね次の段階を示しています。

段階 内容
重要業務の決定 中断すると影響が大きい事業と、それを支える業務(重要業務)を選ぶ
目標復旧時間・目標復旧レベル 重要業務をどれくらいの時間で(RTO)、どの水準まで(RLO)復旧させるかを決め、優先順位を付ける
重要な要素とボトルネック 重要業務に欠かせない経営資源を洗い出し、復旧を早めるうえで制約になるもの(ボトルネック)を把握する
戦略・対策 ボトルネックを解消する対策(代替手段の確保など)を検討する
教育・訓練、見直し 計画に沿って訓練し、結果をもとに見直す

ガイドラインは、重要業務や目標復旧時間などが直感的に把握できるなら、簡易な取組ではそれを用いてもよいとしています。中小企業では、最初から完璧を目指すより、重要業務を3〜5つに絞った初版を作り、訓練しながら育てるのが現実的です。

AIに任せること・任せないこと

区分 内容
AIに任せる 業務の洗い出しの叩き台、表の枠組み、想定シナリオの文章化、初動の手順の文案、訓練のシナリオ案
人が決める どの業務を重要業務にするか、目標復旧時間、対策にかける費用、発動の判断者
AIに入力しない 従業員の住所・連絡先・家族構成・健康状態、取引先との契約条件、建物の鍵や警備の情報、システムのパスワードや構成の詳細

BCPの検討では、従業員名簿や連絡網、システムの構成図などに触れることになります。こうした情報は、AIに入力しなくても計画の型は作れます(個人情報保護委員会の注意喚起も参照)。個人情報の取扱いには安全管理措置が求められます(個人情報保護法第23条)。

手順1:業務を洗い出す

最初に、自社の業務を部署ごとに書き出します。AIには業種と規模を伝え、洗い出しの叩き台を作らせます。

従業員60名の部品卸売業の会社です。本社事務所と倉庫が同じ敷地にあります。
大地震で事務所が2〜3日使えなくなった場合を想定して、
会社の業務を「受注」「出荷」「仕入・支払」「給与・人事」「経理」「顧客対応」
などの分類で洗い出し、それぞれ止まった場合の影響(売上・取引先・法令の期限)を
一覧表にしてください。社名や取引先名は使わないでください。

出てきた一覧は、各部署の担当者に見せて、抜けている業務を足してもらいます。AIの一覧には、自社に特有の業務(特定の取引先向けの納品など)は入っていません。

手順2:重要業務と目標復旧時間の「案」を作る

洗い出した業務のうち、止まると影響が大きいものを選びます。ガイドラインは、停止が許される時間の限界を推定し、その限界より早く目標復旧時間を設定する考え方を示しています。

重要業務(例) 止まると困ること 目標復旧時間(案) 目標復旧レベル(案)
受注・出荷 主要取引先への納品が止まる _日 通常の_%
給与の支払 従業員の生活に影響する 支払日に間に合わせる 全員に支払う(概算払いを含む)
支払・入金の確認 取引先への支払遅延 _日 期日のある支払のみ
顧客からの問い合わせ 状況がわからず取引先が離れる _時間 代表電話の転送・メールで受付

ガイドラインは、この段階の目標復旧時間・目標復旧レベルは実現性が未検証のため「案」にとどまり、対策の検討を経て経営判断で最終決定するとしています。AIに数字を出させても、それは決定ではありません。

手順3:経営資源とボトルネックの表を作る

重要業務ごとに、欠かせない経営資源を洗い出します。AIには表の枠組みを作らせ、中身は人が埋めます。

重要業務 人 場所・設備 情報・システム 外部 ボトルネック
受注・出荷 受注担当2名 倉庫、フォークリフト 受注システム 運送会社 受注システムが社内サーバーにしかない
給与の支払 給与担当1名 ― 給与ソフト、勤怠データ 銀行 担当者が1名だけ

ボトルネックが見えたら、対策を考えます。たとえば「担当者が1名だけ」なら手順書と代行者の指名、「データが社内にしかない」ならデータのバックアップや停電・システム障害への備えが対策になります。対策の候補はAIに複数出させ、費用と実現性は人が比べます。

手順4:初動の手順と体制を文章にする

発生直後に誰が何をするかを、時系列で書きます。安否確認、出社の判断、取引先への連絡が中心です。

  • 発動の判断者と、不在のときの代わりの人
  • 安否確認の方法(BCPと安否確認)
  • 取引先・顧客への第一報の文例
  • 重要業務を再開する順番と担当

文例はAIで作れますが、連絡先や担当者名は計画書に人が書き込み、AIに渡した下書きには含めません。安否確認の連絡網は安否確認連絡網が使えます。

手順5:訓練で確かめ、見直す

計画は、訓練で使ってみて初めて穴がわかります。目標復旧時間までに本当に再開できるか、代行者が手順書だけで作業できるかを確かめます。訓練のシナリオづくりは防災訓練のシナリオと振り返りをAIで作るを参照してください。

見直しのきっかけ 見直す内容
年1回の定期見直し 担当者・連絡先・取引先の変更
訓練の後 実際にかかった時間と目標復旧時間の差
組織変更・移転・システム更新 重要業務と経営資源の表

初版を仕上げるまでの進め方

週 やること 担当
1週目 AIで業務一覧の叩き台を作り、各部署に追記を依頼する 総務
2週目 重要業務を3〜5つに絞り、目標復旧時間の案を作る 総務・各部署の責任者
3週目 経営資源とボトルネックの表を埋め、対策の候補を出す 総務・情報システム担当
4週目 経営者が重要業務・目標・対策を決め、初版として社内に共有する 経営者

最初の版は、A4数枚の分量で十分です。全社に共有する版と、連絡先などを含む管理用の版を分けておくと、共有しやすくなります。

AIの文案で注意すること

  • 「必ず〇日で復旧できる」といった根拠のない数字が入ることがある。数字は自社で検証する
  • 一般的な対策(自家発電機の導入など)が並び、費用の大きさが考慮されていないことがある
  • 法令上の義務のような書き方をしていても、BCPの策定自体は一般の企業に一律に義務づけられたものではない。業界の規制や取引先の要請があるかは、自社で確認する

まとめ

  • BCPは、重要業務・目標復旧時間と目標復旧レベル・経営資源とボトルネック・対策・訓練と見直しの流れで作る
  • AIには業務の洗い出し、表の枠組み、シナリオや文例の下書きを任せ、重要業務と目標の決定は人が行う
  • 目標復旧時間などは「案」として出し、対策の検討を経て経営者が決める
  • 従業員の個人情報、取引先の契約条件、警備やシステムの詳細はAIに入力しない

自社のBCPづくりや、業務の洗い出しにAIをどう使うかを相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

DOCX 総務 防災・BCP 備えチェックリスト 地震・風水害などの災害に備えて、総務が点検すべき項目をまとめたチェックリストです。体制・連絡網、防火管理、オフィスの安全対策、備蓄品、事業継続(BCP)、訓練までを確認できます。 CSV 総務 緊急連絡網・安否確認 連絡先一覧 地震・台風などの災害時に従業員の安否を確認するための連絡先一覧です。連絡網の順番、複数の連絡手段、緊急連絡先、帰宅・出社の目安、安否確認の結果欄までを1行にまとめています。

この記事に出てくる用語

安全管理措置
個人データの漏えい・滅失・毀損を防ぐために会社が講じる措置です。基本方針の策定、規律の整備、組織的・人的・物理的・技術的な措置などがあり、規模にかかわらずすべての会社に義務づけられています。
安否確認
地震などの災害が起きたとき、従業員とその家族の安全や出社の可否を会社が確認することです。連絡網や安否確認サービスを使い、発動基準と手順を事前に決めておきます。
BCP
「Business Continuity Plan」の略で、地震・水害・感染症・システム障害などの緊急事態が起きても、重要な業務を止めない、または早く再開するための計画です。

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出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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