労務 #雇用保険#退職手続き#電子申請

離職票・離職証明書の書き方と提出期限|離職理由の選び方と本人確認の注意点

退職者が失業給付を受けるには、会社が資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出し、離職票を交付する必要があります。提出期限(離職日の翌日から10日以内)、59歳以上の扱い、賃金欄と離職理由欄の書き方、本人確認、マイナポータルでの受け取りまでを整理します。

対象読者
従業員30〜300名の企業で、退職者の雇用保険手続きを担当する労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了9分
最終確認日

この記事のポイント

  • 資格喪失届と離職証明書は、離職日の翌日から10日以内に事業所を管轄するハローワークへ提出する。本人が離職票を希望しなくても、59歳以上なら必ず交付が必要
  • 離職理由は失業給付の受給資格・給付日数・給付制限を左右する。事業主の主張を書き、離職日までに本人に確認させて異議の有無と氏名を記入してもらう
  • 2025年1月から、電子申請で手続きし条件を満たした離職者には、マイナポータルへ離職票が直接届くようになった

退職した従業員から「離職票はいつ届きますか」と聞かれることはよくあります。離職票は、ハローワークで失業給付(基本手当)の手続きをするために必要な書類です。会社が離職証明書を作ってハローワークに提出し、ハローワークが発行した離職票を本人に渡す流れになります。

この記事では、離職証明書の提出期限と書き方、特に間違えやすい離職理由欄の注意点を整理します。退職時の手続き全体は退職時の手続き一覧を参照してください。

離職票と離職証明書の関係

書類 作成者 用途
雇用保険被保険者資格喪失届 会社 雇用保険の資格を喪失させる届出
雇用保険被保険者離職証明書(3枚1組) 会社 離職前の賃金と離職理由を証明する。1枚目が事業主控、2枚目がハローワーク提出用、3枚目が離職票-2になる
雇用保険被保険者離職票(-1、-2) ハローワークが交付 離職者が失業給付を申請するときに使う

提出期限と提出先

項目 内容
いつ 離職日の翌日から10日以内(被保険者でなくなった日(離職日)の翌日から起算して10日以内)
誰が 会社(事業主)
どこに 事業所を管轄するハローワーク(電子申請も可)
何を 資格喪失届+離職証明書。確認資料として賃金台帳・出勤簿・労働者名簿、離職理由を確認できる書類

例えば10月31日に退職した場合、被保険者でなくなる日は11月1日で、提出期限は11月11日です。

離職票が不要な場合

本人が離職票の交付を希望しない場合は、資格喪失届だけを提出すれば足ります。ただし次の点に注意してください。

  • 離職日に59歳以上の人は、本人の希望にかかわらず離職票の交付が必要です
  • 離職証明書を出さなかった場合でも、後から本人に請求されたら作成して交付しなければなりません

転職先が決まっている人でも、念のため離職票の要否を書面で確認しておくと安心です。

離職証明書の書き方のポイント

賃金支払状況の欄

離職日から1か月ごとに区切って遡り、各期間の賃金支払基礎日数と賃金額を記入します。

  • 賃金支払基礎日数が11日以上、または賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上の月を、被保険者期間1か月と数えます
  • 原則として、被保険者期間が通算12か月になるまで遡って記入します
  • 賃金支払基礎日数には、休業手当や有給休暇の対象となった日も含めます
  • 休業手当を支払った期間がある場合は、備考欄に「休業」と休業日数・金額を記入します

賃金額は、税・社会保険料を控除する前の総支給額です。賞与など3か月を超える期間ごとに支払う賃金は、賃金額の欄に含めず、特別の賃金の欄に記入します。基本手当の日額はこの賃金額から計算されるため、賃金台帳と突き合わせて確認しましょう。

離職理由の欄

離職理由は、失業給付の受給資格、所定給付日数、給付制限の有無に影響します。

区分 主な離職理由 失業給付への影響
特定受給資格者 倒産、解雇(重責解雇を除く)、労働条件と実態の大きな相違、ハラスメントなど 離職前1年間に被保険者期間6か月で受給資格。給付日数が手厚くなる場合がある
特定理由離職者 有期契約の雇止め(更新希望あり)、正当な理由のある自己都合離職など 離職前1年間に被保険者期間6か月で受給資格
一般の離職者 正当な理由のない自己都合離職、定年など 離職前2年間に被保険者期間12か月が必要

正当な理由のない自己都合離職には給付制限があります。2025年4月1日以降の離職では、給付制限は原則1か月に短縮されました。ただし、短期間に自己都合離職を繰り返した場合や、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)の場合は3か月です。また、離職前後に一定の教育訓練を受けた場合は、給付制限が解除される仕組みもあります。

離職理由を書くときの注意点

  • 事実に沿って書く:退職届の文言だけでなく、退職に至った経緯で判断します。会社が退職を勧めた結果の退職は「自己都合」ではありません
  • 具体的事情記載欄:離職に至った原因と経緯を具体的に書きます
  • 有期契約の満了:1回の契約期間、通算期間、更新回数、更新の明示の有無、本人の更新希望の有無を正確に記入します
  • 確認資料を用意する:退職届、解雇予告通知書、雇用契約書など、離職理由を裏づける書類を持参(電子申請では添付)します

離職理由は会社の主張だけで決まるものではありません。ハローワークは、会社と離職者双方の主張を資料で確認したうえで判定します。事実と異なる記載は、虚偽の届出として問題になるおそれがあります。

雇用関係助成金の中には、一定期間内に会社都合の離職者を出していると対象外になるものがあります。だからといって、離職理由を実態と異なる自己都合にすることは許されません。

本人確認(離職者本人の判断欄)

離職証明書には、会社が書いた離職理由に対する離職者本人の判断の欄があります。

  1. 離職日までに、会社が記入した離職理由を本人に確認してもらう
  2. 本人に、異議の「有り・無し」を○で囲み、氏名を記入してもらう
  3. 退職後で本人の記入が得られない場合は、その理由を欄に記入する

賃金欄の計算が終わる前でも、離職理由の確認は先に済ませて構いません。最終出社日に記入してもらう段取りにしておくと、退職後に連絡がつかなくなる事態を防げます。退職チェックリストに項目を入れておきましょう。

電子申請とマイナポータルでの受け取り

2025年1月20日から、次の条件を満たした場合、離職票などがハローワークから離職者のマイナポータルに直接送られるようになりました。

  • 会社が電子申請で離職手続きを行うこと
  • 届け出たマイナンバーが被保険者番号と正しく紐づいていること
  • 離職者本人が、マイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定をしていること

条件を満たさない場合は、従来どおり会社から離職者に離職票を送ります。電子申請の始め方はe-Govで社会保険・労働保険を電子申請する方法を参照してください。

まとめ

  • 資格喪失届と離職証明書は、離職日の翌日から10日以内にハローワークへ。59歳以上は必ず離職票を交付する
  • 賃金欄は、賃金支払基礎日数11日以上(または80時間以上)の月が12か月になるまで遡って記入する
  • 離職理由は給付制限や給付日数を左右する。事実に沿って書き、確認資料を添える
  • 離職日までに本人に離職理由を確認させ、異議の有無と氏名を記入してもらう
  • 電子申請で手続きすれば、条件を満たした離職者はマイナポータルで離職票を受け取れる

この記事で使えるテンプレート

DOCX 人事 退職手続きチェックリスト 社会保険の資格喪失届、雇用保険の資格喪失届・離職証明書、源泉徴収票、住民税の異動届、貸与品の回収、アカウント停止まで、退職手続きを期限つきで確認できるチェックリストです。

出典・参考資料

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