外国人を雇うときの手続き:在留カードの確認、就労可否、外国人雇用状況の届出
外国人を雇うときは、在留カードで在留資格・在留期間・就労制限の有無・資格外活動許可を確認し、雇入れ時と離職時にハローワークへ外国人雇用状況の届出を行います。確認の手順、届出の期限、雇用保険・社会保険の扱い、入社後の雇用管理まで整理します。
- 対象読者
- 初めて外国人を採用する、または留学生アルバイトを受け入れる企業の人事・総務担当者
- 難易度
- 基本
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- 読了9分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 採用前に在留カードの「在留資格」「在留期間(満了日)」「就労制限の有無」「資格外活動許可」を確認する。「就労不可」でも裏面の許可があれば制限内で就労できる
- 雇入れ・離職時の外国人雇用状況の届出は全事業主の義務。雇用保険の被保険者は資格取得届・喪失届で届出を兼ねる
- 労働基準法や社会保険は国籍を問わず適用される。在留期間の更新時期も会社で管理する
外国人の採用は、手続き自体は日本人の採用と大きくは変わりません。違うのは、採用前に「働いてよい人か」「その仕事をしてよい人か」を確認することと、ハローワークへの届出が加わることです。確認を怠ると、会社も罰則の対象になりえます。
採用前:在留カードで確認すること
中長期間在留する外国人には在留カードが交付されています。採用前に原本を確認し、写しを保管します。
| 確認項目 | 見るところ | ポイント |
|---|---|---|
| 在留資格 | 表面 | 予定している仕事がその在留資格で認められる活動か |
| 在留期間(満了日) | 表面 | 期限が切れていないか。更新時期を把握する |
| 就労制限の有無 | 表面 | 「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」「就労不可」など |
| 資格外活動許可 | 裏面 | 「就労不可」の人でも、許可があれば制限の範囲内で就労できる |
就労制限の種類ごとの扱い
| 表面の記載 | 雇用の可否 |
|---|---|
| 就労制限なし | 業務内容に制限なし(永住者、日本人の配偶者等、定住者など) |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | その在留資格で認められた業務に限る(例:外国料理のコックとして認められた人を工場の作業員として働かせることはできない) |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 旅券に添付された指定書で、認められた活動を確認する(特定活動など。在留資格「特定技能」の場合も指定書を確認) |
| 就労不可 | 原則雇用できない。裏面の資格外活動許可を確認 |
留学生アルバイトの場合
留学生や家族滞在の人は、在留カード裏面に資格外活動許可があれば、原則週28時間以内(風俗営業等の従事を除く)で働けます。複数のアルバイト先がある場合は、合計で週28時間以内に収める必要があります。本人に他のアルバイト先の有無と時間を確認しておきましょう。
偽造カードへの対策
出入国在留管理庁は、次のツールを無料で提供しています。
- 在留カード等読取アプリケーション:ICチップの情報を読み取り、券面と見比べて偽変造を確認する
- 在留カード等番号失効情報照会:カード番号と有効期間の満了日を入力し、番号が失効していないかを確認する
失効情報照会の結果は在留カードの有効性を証明するものではないため、読取アプリと併用するよう案内されています。
判断に迷うとき
予定している業務がその在留資格で認められるか不安な場合は、本人が住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に就労資格証明書の交付を申請する方法があります。証明書がなければ働けないわけではありませんが、確認の手段として使えます。
在留資格の変更が必要な人(例:留学生の新卒採用)は、入社日までに「留学」から就労できる在留資格への変更許可を受ける必要があります。手続きには時間がかかるため、内定後早めに準備を始めます。
不法就労助長罪に注意
出入国管理及び難民認定法第73条の2は、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者などを処罰の対象としています(2026年10月時点の条文では3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科)。
さらに、在留資格の範囲外の活動であることや、資格外活動許可がないことを知らなかったとしても、過失がある場合は処罰を免れないとされています。在留カードを確認しなかった場合などが該当しうるため、確認と記録を必ず行いましょう。
外国人雇用状況の届出
労働施策総合推進法第28条により、すべての事業主は、外国人を雇い入れたときと離職したときに、氏名・在留資格・在留期間などをハローワークに届け出なければなりません。対象は、特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人を除く外国人です。
| 区分 | 届出の方法 | 期限 |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者になる人(雇入れ) | 雇用保険被保険者資格取得届に国籍・在留資格・在留カード番号などを記入 | 雇い入れた日の属する月の翌月10日まで |
| 雇用保険の被保険者(離職) | 雇用保険被保険者資格喪失届に記入 | 離職日の翌日から起算して10日以内 |
| 被保険者にならない人(短時間のアルバイトなど) | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) | 雇入れ・離職とも翌月末日まで |
- 届出事項には在留カード番号が含まれます。届出の際に在留カードの写しを添付する必要はありません
- 被保険者は e-Gov、被保険者でない人は「外国人雇用状況届出システム」で電子届出ができます
- 届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります
- 厚生労働省のページでは、2027年4月1日から様式第3号の新様式を使うよう案内されています
雇用保険・社会保険・税の扱い
労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などの労働関係法令と、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険などの社会保険関係法令は、国籍を問わず適用されます。国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的に扱うことも禁止されています。
| 手続き | 扱い |
|---|---|
| 雇用保険 | 加入要件を満たせば加入。取得届で外国人雇用状況の届出を兼ねる |
| 健康保険・厚生年金保険 | 加入要件を満たせば加入(「社会保険の資格取得手続き」) |
| 所得税 | 居住者か非居住者かで源泉徴収の扱いが変わる。判断に迷う場合は税務署に確認 |
| 住民税 | 日本人と同様に特別徴収 |
厚生年金保険の被保険者期間が一定以上ある人が帰国する場合は、帰国後に脱退一時金を請求できる旨を説明し、年金事務所等の窓口を案内するよう努めることとされています。
入社後の雇用管理
厚生労働省の指針では、外国人労働者の雇用管理について、次のような取り組みに努めるよう求めています。
- 労働条件を、母国語や平易な日本語など本人が理解できる方法で明示する
- 安全衛生教育を、本人が理解できる方法で行う
- 社内規程の多言語化、相談窓口の設置
- 日本語学習の機会の提供など、生活面の支援
- 在留資格の変更・在留期間の更新の手続きに対する勤務時間の配慮
在留期間の管理
在留期間の満了日を台帳で管理し、更新申請の時期(満了の数か月前)が来たら本人に声をかけます。更新されないまま満了日を過ぎると就労できなくなるため、会社側でも確認する仕組みを作っておきましょう。入社時の書類管理は「入社手続きの全体像」も参考にしてください。
採用から離職までのチェックリスト
| 時期 | やること |
|---|---|
| 採用前 | 在留カード原本の確認(4項目)、写しの保管、業務内容と在留資格の照合 |
| 内定後 | 必要に応じて在留資格変更の手続き、労働条件の書面明示(理解できる言語で) |
| 入社時 | 雇用保険取得届(または様式第3号)、社会保険の取得届 |
| 在籍中 | 在留期間の満了日管理、更新手続きへの配慮 |
| 離職時 | 雇用保険喪失届(または様式第3号)、資格確認書の回収、脱退一時金の案内 |
まとめ
- 採用前に在留カード原本で在留資格・在留期間・就労制限・資格外活動許可の4点を確認し、記録を残す
- 雇入れ・離職時の届出はすべての事業主の義務。雇用保険被保険者は取得届・喪失届で兼ねる
- 労働・社会保険の法令は国籍を問わず適用。理解できる言語での説明と在留期間の管理を忘れない
判断に迷う場合は、ハローワークの外国人雇用の窓口や、出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンターに相談できます。