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健康診断後の再検査・精密検査の受診勧奨文をAIで作る:健康情報を入力しない設計と、伝え方・フォローの手順

定期健康診断で「要再検査」「要精密検査」となった従業員への受診勧奨は、文面に悩みやすく、後回しになりがちです。健康診断の結果をAIに一切入力せずに、受診勧奨の文例を作る方法を解説します。指針上の位置づけ、文例のプロンプト、送り方と取扱いの範囲、フォローの記録まで整理します。

対象読者
健康診断の事後対応を担当している、従業員30〜300名の企業の人事・総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了9分
最終確認日

この記事のポイント

  • 指針では、再検査・精密検査が必要な労働者に受診を勧め、結果を意見を聴く医師等に提出するよう働きかけることが適当とされている。受診勧奨は事後措置の一部として仕組みにしておく
  • AIには「健診結果の中身」を一切入力しない。所見の種類ごとの文面ではなく、検査項目に触れない共通の文例を作り、個別の内容は健診機関の結果票や産業医・保健師に委ねる
  • 勧奨文は本人だけに届く方法で送り、誰が結果を扱うかの範囲を決めておく。送付日・受診の有無・結果提出の有無を記録し、未受診者へは期限を決めて再度案内する

健康診断の結果が届いたあと、「要再検査」「要精密検査」となった従業員にどう声をかけるかは、多くの担当者が悩むところです。文面に気を使ううちに時間がたち、結局そのままになってしまうこともあります。

この記事では、健康診断の結果をAIに一切入力せずに、受診勧奨の文例と運用の仕組みを作る方法を紹介します。健康診断の実施義務や事後措置の全体像は「定期健康診断の実施義務と事後措置」で解説しています。

受診勧奨の位置づけを確認する

厚生労働省の「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、再検査や精密検査について、次のように整理されています。

項目 指針の考え方(要旨)
再検査・精密検査の受診勧奨 就業上の措置はできる限り詳しい情報に基づいて決めることが適当なため、必要な労働者に受診を勧奨し、意見を聴く医師等に結果を提出するよう働きかけることが適当
実施の義務 再検査・精密検査は診断の確定や症状の程度を明らかにするもので、一律に事業者に実施が義務づけられているものではない
保健指導 特に健康の保持に努める必要がある労働者には、医師または保健師による保健指導を受けさせるよう努める。その中で再検査・精密検査や治療のための受診の勧奨を行う

つまり、受診勧奨は「やってもやらなくてもよいこと」ではなく、医師の意見を聴いて就業上の措置を判断するための大事な段取りです。産業医がいる事業場では、受診勧奨の対象や優先度を産業医と相談して決めます。50人未満の事業場では、地域産業保健センターを利用する方法もあります(50人未満の事業場の産業保健)。

AIに入力しないもの・入力してよいもの

健康診断の結果は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたる、特に慎重な取扱いが必要な情報です。受診勧奨文の作成でも、次のように線を引きます。

入力しない 入力してよい
従業員の氏名・社員番号 「要再検査・要精密検査の判定を受けた従業員」という対象の説明
検査項目・数値・所見・判定区分 会社の手続き(受診の期限、結果の提出先、費用や時間の扱いの社内ルール)
既往歴・服薬・問診の内容 文面のトーン(押しつけない、プライバシーに配慮する)
「Aさんは血圧が高い」のような個別の状況 問い合わせ先(産業医・保健師・担当窓口)

ポイントは、「血圧用」「血糖用」のように所見別の文面を作らないことです。所見別の文例を作ろうとすると、どうしても健康情報を扱う場面が増えます。文面は共通にし、どの検査が必要かは、本人が持っている健診結果票と、医師・保健師の説明に委ねます。

AIに文例を作らせる

プロンプト例

あなたは企業の人事担当者の文書作成を手伝うアシスタントです。
定期健康診断で「要再検査」または「要精密検査」と判定された従業員に送る、
受診のお願いの文例を作ってください。

条件:
- 検査項目や病名には一切触れない(どの検査が必要かは
  「お手元の健康診断結果票をご確認ください」とする)
- 不安をあおらず、受診をためらう人の気持ちに配慮する
- 次の社内ルールを入れる:
  ・受診の目安:{期限}までに
  ・受診結果の写しを{提出先}へ提出してほしい
  ・受診にかかる時間や費用の扱い:{社内ルール}
  ・相談先:{産業医・保健師・担当窓口}
- このお知らせは本人だけに送っていること、結果は限られた担当者のみが
  取り扱うことを書く
- 全体で400字程度。件名も2案

あわせて、期限までに受診が確認できない人に送る、
2回目のご案内の文例(250字程度)も作ってください。

再検査等の費用や受診時間の賃金の扱いは、会社によって異なります。社内ルールが決まっていない場合は、先に決めてから文例に反映させます。

できた文例を人が確認する

AIの文例は、次の点を人が確認してから使います。

  • 検査項目・病名・数値に触れていないか
  • 「必ず」「早急に」など、本人を追い詰める表現が強すぎないか
  • 受診しないことで不利益があるかのような書き方をしていないか
  • 期限・提出先・相談先が正しいか
  • 産業医や保健師がいる場合は、文面を見てもらう

送り方と取扱いの範囲を決める

文面以上に大事なのが、誰が結果を見て、どう送るかです。

決めておくこと 例
結果を扱う担当者の範囲 健康管理の担当者(と産業医・保健師)に限る。上司には、就業上の措置に必要な範囲だけを伝える
送付の方法 本人あての封書、本人だけが見られる社内メッセージなど。共有のメールアドレスや回覧は使わない
対象者リストの保管 アクセスを制限した場所に保管し、AIサービスには置かない
結果の写しの受け取り 提出先を1か所にし、受け取った日を記録する

健康情報を誰がどこまで扱うかは、「健康情報等の取扱規程」として定めることが求められています。厚生労働省の手引きにひな形があるので、まだ規程がない場合はあわせて整備します。従業員の個人情報全般の管理は「中小企業の個人情報・マイナンバー管理の基本」も参考にしてください。

フォローの記録と2回目の案内

受診勧奨は、一度送って終わりではありません。

  1. 送付の記録:送付日と方法を、受診管理表に記録する(健康診断 受診管理表)
  2. 期限の確認:期限を過ぎても結果の提出がない人には、2回目の案内を送る
  3. 医師の意見聴取:提出された結果や健診の結果をもとに、医師の意見を聴き、必要な就業上の措置を検討する
  4. 記録の保存:健康診断個人票は5年間保存する。受診勧奨の記録も同じ場所で管理するとよい

健康管理の記録をまとめて扱いたい場合は、システムを使う方法もあります(健康管理システムの選び方)。

よくある迷いどころ

迷うこと 考え方
上司から「部下の結果を教えてほしい」と言われた 結果そのものではなく、医師の意見に基づく就業上の配慮(残業の制限など)に必要な範囲だけを伝える
本人が「受診したくない」と言う 受診を強制する書き方はせず、相談先(産業医・保健師)を案内する。対応の経過は記録しておく
勧奨文をAIで一人ずつ作り分けたい 個別の作り分けは、健康情報の入力につながるので行わない。共通の文例に、期限などの差し込み項目だけを入れる

まとめ

  • 指針では、再検査・精密検査が必要な労働者への受診勧奨と、結果を医師等に提出するよう働きかけることが適当とされている
  • AIには健診結果の中身を一切入力しない。所見別ではなく共通の文例を作り、検査の内容は結果票と医師・保健師に委ねる
  • 本人だけに届く方法で送り、結果を扱う担当者の範囲を決める。送付日・提出の有無を記録し、未受診者には2回目の案内を送る

健康管理の連絡や記録をどこまで仕組み化できるか、個人情報に配慮したツールの使い方を相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

CSV 労務 健康診断 受診管理表 従業員ごとの健康診断の受診予定・受診日・結果判定・再検査・医師の意見聴取・就業上の措置までを一覧で管理する表です。未受診者のフォローや、労働基準監督署への結果報告の準備に使えます。

出典・参考資料

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